私は飲食店のスタンプカードを二つもっています。
一つのカードは10回行くと50%オフ、
もう一つのカードは12回行くと50%オフ、ただしカードを発行された時点で
2つのスタンプが押されています。
どちらも50%オフという特典にたどり着くためには、10回お店に行かなければなりません。
しかし、一方の飲食店には頻繁に行くものの、もう一方の飲食店にはあまり足を運びませんでした。
値段や味、お店の立地はほとんど変わらないにも関わらず、です。
何がこの違いを決めたのか、記事の続きを読んで下さい。
1.ゴールが近付くとやる気がアップする
1930年代に、研究者たちは興味深い発見をしました。
何かというと、
食べ物を求めて迷路を走っているネズミは
食べ物に近付くほど走る速度が上がるというものです。
このことから、
目標が近付けば近付くほど、
そこへたどり着くためにより多くの努力を払うようになる、という
「目標勾配仮説」が生まれました。
この目標勾配仮説が人間にも当てはまるのかどうか、
コロンビア大学の研究者が実験を行いました。
その結果、
ネズミがゴールに近付くほど食べ物を求める動きを活発化させたように、
人間もゴールに近付くほど報酬を得ようと動くことが分かりました。
実験では、スタンプが一杯になったらコーヒーが1杯無料で飲めるカードを
渡したところ、スタンプが埋まるにつれてコーヒーを飲む頻度が上がりました。
同様に、オンラインの音楽サイトでポイント券と引き替えに
楽曲のレビューを書くユーザーは、報酬が得られるポイントが近付くにつれ、
音楽サイトに訪れる頻度が上がり、より多くの楽曲をレビューするように
なりました。
2.有利なスタートを切るとどうなるか
先ほどのコーヒーが一杯無料になるスタンプカードの実験ですが、
実は2種類のカードを使って実験が行われていました。
一つはスタンプが10個押せるカードで、
スタンプは一つも押されていない状態で被験者にカードを渡しました。
もう一つはスタンプを12個押せるカードで、
すでにスタンプを二つ押している状態で被験者にカードを渡しました。
どちらのスタンプカードも、無料でコーヒーを得るためには
スタンプを10個押してもらう必要があります。
しかし、必要とされるスタンプ数が変わらないにもかかわらず、
一見前進中であるように見える12個押せるスタンプカード(すでに2個押されている)
をもっている人の方がコーヒーを買う頻度が高かったのです。
このことから、単にスタンプカードを発行するよりも、
あえてポイントがついている状態でカードを発行し、
早く最初のゴールにたどり着けるよう幸先良いスタートが切れたと
思わせることが重要です。
3.まとめ
スタンプカードを活用するときは、
すでにある程度前進している状態で始めると感じさせるのがポイントです。
10個のスタンプで特典が得られるのなら、
12個押せるスタンプカードに2個のスタンプを押した状態で
カードを発行するのです。
この手法は、スタンプカード以外にもポイントカードやメンバーズカードでも
活用できます。
ちょっとした違いですが、
売上の差は”ちょっと”ではないはずですよ。
お金を儲けて仕事にやりがいを!人生に生きがいを!
記:宮里竹識(みやざとたけし)