料金表示をすべきかどうか、表示するならどのように見せるか。
これはあなたが自分のビジネスを持っているなら、一度は悩んだ事柄だと思います。
この記事では、この悩みの答えとなる情報をお伝えしたいと思います。
1.お金を意識すると利己的行動が助長される
心理学者のキャスリン・ヴォースは、
前もってお金に関する情報を与えると、
人は利己的行動が助長されることを明らかにしました。
ヴォースが行った実験について紹介します。
【実験内容】
被験者である学生にお金について言及したエッセイを読ませるか、
通貨が描かれたポスターに向かって座らせるかしました。
このように事前にお金に関する意識を埋め込まれた被験者は、
そうでない被験者と比べると、ある難しい問題を解決する際に
他者に助けを求めるまでに70%も長く時間がかかり、
助けを必要としている他者に力を貸した時間はわずか半分でした。
【結論】
ヴォースは、たとえわずかであってもお金に対する意識があると
人の気分は変わってしまう。お金への意識付けをされた人たちは
他者を頼ることも、他者から頼られることも好まない。
2.広告ではお金を意識させるべきか
お金に関連する商品・サービスを売っている広告主にとって、
先ほどのヴォースの研究は非常に興味深いものといえます。
投資やギャンブル、自己啓発、大幅な節約、新しい儲かる方法など、
買い手の利己心に訴えるものを売っているのであれば、
広告でもお金を意識させるようにすべきでしょう。
その方が買い手の利己心を助長させ、
商品やサービスの購入につながりやすいからです。
しかし、すべての商品・サービスが利己心を刺激するものではありません。
例えば、”大幅な節約”というのは買い手の利己心を刺激しますが、
”婚約者へのプレゼント代を節約しましょう”なんて言われても、
購買欲はそそられません。
このように、他者に対する思いやりを想起させるもの、
他者を喜ばせたいと思わせるものに対しては
お金を匂わせて利己心を刺激するのは逆効果です。
「ダイヤモンドは永遠の輝き」でお馴染みのデビアス社なんかは、
ダイヤモンドの希少性やプレゼントでの感動を売っているので、
お金を匂わすような売り方はしていません。
婚約者と一緒に結婚指輪を買いに来たとき、
「今ならこの指輪が20%オフ!」
なんて言われても気持ちが萎えますよね。
3.レストランで学ぶ金額表示の知恵
レストランのメニューからクイズです!
次の3つの料金表示うち、一番多く注文が取れたのはどれでしょう?
① ¥記号をつけた数字で表示:¥1,200
② ¥記号をつけない数字表示:1200
③ 文字で説明:千二百円
このクイズは、コーネル大学の研究者が行った実験をもとに出題しました。
研究者たちは、③の価格を文字で記したメニューが最も多くの注文を取ると
予測しましたが、結果は②の数字のみの表示のメニューを使った方が
お客さんは一番注文したのです。
この実験は、商品を購入する前に「お金」に関するイメージを強く持たせた
場合とそうでない場合で購入結果に差が出るかどうかを確かめるものでした。
結果、「¥」「円」という表示でお金をイメージさせた①③よりも、②の数字のみの表示を見た客の方がかなり多くの金額を費やしていたことがわかりました。
あなたのビジネスでは価格はどのように表示していますか?
お客さんがなるべくお金を節約して買いたいと思っているなら、
「10,000円」「¥10,000」とするよりも、「10000」とした方が、
コーネル大学の実験からは、売れやすいということになります。
4.まとめ
今回の記事では、お金を意識することで人の行動は変わるのか、
セールスにおいて金額を表示すべきか、
表示するとしたらどのように表示するのが効果的かについて話をしました。
自分の利己心を高める高級車や高級時計などであれば通貨記号を表示して
料金を明示するのが良いでしょう。
一方、贈りものであったり営利目的でないことをアピールするような場合には、
金銭的イメージを取り入れるのは避けた方がいいでしょう。
あなたの商品・サービスの特性に合わせて使い分けてください。
お金を儲けて仕事にやりがいを!人生に生きがいを!
記:宮里竹識(みやざとたけし)