マジシャンとセールスに共通の話題がないなんて考えていたら、それは大きな間違いです。
マジシャンもセールスマンも、違う形ではありますが注意力や意識、人間心理の問題に関わっているという共通点があります。
そのため、マジシャンという職業から社長であるあなたが学べることは意外とたくさんあります。
とくに、一生懸命注意を払っているお客さんの目をごまかすマジシャンのテクニックはあなたの参考になるでしょう。
といっても誤解しないでください。
あなたの顧客を騙そうというものではありません。
顧客の注意を引き、つなぎ止めておくためにマジシャンのテクニックを使うのです。
そこで今回は、マジシャンのテクニックの中でセールスに応用できそうなものをいくつか紹介します。
1.人間は一度に一つのことしか集中して行えない
仕事のできる人は多くのことを同時並行でできると思っていませんか?
しかし、人間は一度に一つのことにしか注意を払えないという事実があるからこそ、
マジシャンの興業は成立しているのです。
なぜなら、マジシャンの行う手品の多くが、
観客の意識があることに集中している間に
もう一方の手で何かをするというパターンに基づいているからです。
ここでちょっとした実験をしてみたいと思います。
下にバスケットボールをしている人たちの動画を用意しました。
この動画の中で、
白い服のチームが何回ボールをパスしたのかを数えて見て下さい。
それではどうぞ。
いかがでしたか?
正解は15回です。
正解したあなた、おめでとうございます。
しかし、この動画はそこが問題ではありません。
実はこの動画は、
「人が何かに集中すると、それ以外のことには集中できなくなる」
ということを実験したものです。
あなたはこの動画の中で、ゴリラが通り過ぎているのに気づきましたか?
なんとこの実験を受けた人の多くは
ゴリラに気づきませんでした。
このことからも分かるとおり、
人間は一つのことに集中すると他のことは意識できなくなります。
そのため、あなたは顧客の注意を適切な場所に向けさせる必要があるのです。
顧客の注意が他に向くとセールスのキーポイントを
とらえてもらえなくなります。
あなたの伝えたいことに注目してもらうため、
お客さんに複数のことを同時にさせないようにしましょう。
2.人は動くものに注意を引かれる
マジシャンが白いハトを使った手品をよくするのはなぜだと思いますか?
ポケットに入れていても大人しくしているというハトの性格が
マジックに向いているから。
それもあるかもしれません。
ですが一番の理由は、
白い羽を羽ばたかせて飛び立つ様子が
お客さんの目を釘付けにするからです。
その間にマジシャンは次の準備をすることができるのです。
私たちの脳は動くものに反応するようにできています。
原始時代においては、
動くものといったら危険なものか食べ物だったからです。
動くものに反応することは、生存本能ともいえます。
この生存本能をマジシャンはうまく利用しているのです。
これを私たちも利用するのです。
例えば対面販売や顧客へのプレゼンの場面で、
ここぞというときに動くものを見せて注意を引きましょう。
3.マジシャンのトークは反面教師
マジックショーではマジシャンはしゃべり続けていることが多く、
その話が面白いので聞き入ってしまいますよね。
マジシャンがおしゃべりをするのは、
お客さんを楽しませることだけが目的ではありません。
むしろ、観客の気をマジックの仕込みからそらすことが最大の目的です。
マジシャンのトークによって、
脳は”言葉”という情報処理に追われてしまいます。
それによって肝心なマジックに必要な動きが見破られないようにしているのです。
そこで意識してほしいのは、
絶え間ないトークはマジシャンにとっては必要な道具ですが、
あなたにとっては顧客の注意をセールスからそらせる妨害になりかねない
ということです。
あなたが一生懸命商品をチェックしているとき、
セールスマンが無駄なトークを繰り広げると
邪魔に感じませんか?
セールスにおいては、何を話すかだけでなく、
いつ話すか、話をしてはいけないタイミングというのも重要です。
顧客が商品に集中しているとき、
重要な事を考えているときは、
セールストークをしないように心がけましょう。
4.まとめ
マジシャンのテクニックが、
社長であるあなたのセールスにも応用できるという話をしました。
①人は一度に一つのことにしか集中できない
②人は動くものに注意を引かれる
③マジシャンのトークの意図を理解してセールストークを行う
一流のマジシャンは観客の注意を引きつけたり
自在に別のものに向けさせることが上手いです。
このマジシャンのテクニックを学ぶことで、
あなたも顧客の注意をコントロールできるようになるはずです。
お金を儲けて仕事にやりがいを!人生に生きがいを!
記:宮里竹識(みやざとたけし)