ある商品やサービスの売上を伸ばす必要がある?
それなら、これまでの経験に反する意外な方法をお教えします。
それは、売りたい商品やサービスとよく似ているが、内容の劣るものを同じ価格で提供するということです。
内容の劣るものをお客さんが購入する可能性は低いですが、あなたが売ろうとしているものの売上は急上昇する可能性があります。
1,おとり商品の効果
実例を一つ紹介しましょう。
私はこの間ディスカウントストアで炭酸飲料を買おうとしたのですが、
たくさんの選択肢に悩まされることになりました。
炭酸飲料といっても、コーラ、ペプシ、ファンタ、ドクペ、色々です。
たくさんの選択肢に惑わされて突っ立っていた私ですが、
二種類のコーラが並んでいるのに目がとまりました。
二つともコカ・コーラで、一つが350㎖、もう一つが500㎖でした。
ですが、この二つのコーラ、値段が同じ98円だったのです。
私は迷わず500㎖のコーラを手に取り、レジに向かいました。
しかも1本で十分なのに2本も手にとっていました。
これまでどの炭酸飲料を買おうか迷っていたところですが、
あっという間に予定以上の購買行動に出てしまいました。
それは、350㎖のコーラというおとり商品があったからです。
値段が同じなのに量が異なる二種類のコーラを見て、
500㎖のコーラがお得だと感じ、すぐさま購入に走ってしまったのです。
2.脳は比較するのが得意である
おとり商品を使った販売方法では、
「相対性」が非常に重要です。
私たちの脳は絶対的な価値を判断するのは苦手ですが、
相対的な価値を判断するのは容易に行えるようにできています。
脳が相対的な判断を容易に行えるという事例を一つ紹介しましょう。
『エコノミスト』という雑誌の年間購読案内をAとBの2パターン用意し、
2つの被験者のグループに見てもらった結果がこちらです。
【案内A】
●59ドル・・・ウェブ版だけの購読(68人が選択)
●125ドル・・・ウェブ版と印刷板のセット購読(32人が選択)
◆予想される収益:8012ドル
【案内B】
●59ドル・・・ウェブ版だけの購読(16人が選択)
●125ドル・・・印刷板だけの購読(0人が選択)
●125ドル・・・ウェブ版と印刷板のセット購読(84人が選択)
◆予想される収益:11,444ドル
予想される収益が案内Aと案内Bで大きく異なることがお分かりでしょうか。
AとBのオファーはどちらもほぼ同じで、
一つだけ違うのは案内Bには「印刷板だけの購読」が含まれているだけです。
「印刷板だけの購読」という魅力のないオファーを選んだ人は
一人もいないのに、同じ金額の「ウェブ版と印刷板のセット購読」を
選んだ人は84人もいました。
これが、脳は相対的な比較が得意であることを示す事例です。
あえて内容の劣るおとり商品を並べることで
本命商品の売上を伸ばす効果についても、
納得いただけたと思います。
3.脳スキャンからみたおとり商品の有効性
ある研究者が、fMRIによるスキャンを用い、
私たちが複数の選択肢から一つを選ぶときに
脳内で何が起きているのかを調べました。
その結果、同じくらい魅力的な選択肢から一つを選ぶ場合、
選択の難しさが原因で、被験者の脳はいらだちを示すことが分かりました。
そこに、さほど魅力的でない選択肢がもう一つ加わると、
選択の過程が前よりもラクで楽しくなるということが分かったのです。
これは何となく分かりますよね。
どちらも甲乙つけがたい選択肢の場合は選ぶのにとても悩みますが、
明らかに劣った選択肢があれば、選ぶべき選択肢は明白で悩むことも
ありません。
4.まとめ
内容の劣るおとり商品を用意することで、
本命の商品の売り上げを大きく伸ばすことができるという話をしました。
「おとり商品」というと聞こえは悪いですが、
お客さんを騙しているわけでも不利益を生じさせているわけでもありません、
あえて魅力に欠けるオファーを提示することで、
お客さんの悩みを解消させる手伝いをしているのです。
あなたのビジネスでも、ぜひおとり商品を活用して売上を伸ばして下さい。
お金を儲けて仕事にやりがいを!人生に生きがいを!
記:宮里竹識(みやざとたけし)