お客さんに商品を売るとき、普通は「買って下さい」と言いますよね?
しかし、「この商品を買わなかったらどうなると思います?」というアプローチでお客さんに問いかけることで大きな成果を得られる可能性があります。
1.『素晴らしき哉、人生!』から学ぶ
あなたは1946年のアメリカ映画、
『素晴らしき哉、人生!』を知っていますか?
アメリカ映画協会が選ぶ「感動の映画ベスト100」では1位に、
「アメリカ映画ベスト100」では11位にランクインしています。
あらすじを簡単に説明すると、次のようなものです。
自分の夢を追いながらも父親の急死に伴い家業を継いで
田舎町で過ごすことになったジョージ・ベイリー。
真面目に働いていたものの不幸が続きます。
クリスマスの夜に自殺をしようとした彼の前に
天使のクラレンスが現れます。
天使クラレンスは「生まれてこなければよかった」というジョージのため、
彼が生まれてこなかった場合の世界を見せてくれます。
ジョージの生まれてこなかった世界はひどいものでした。
これを見たジョージはこれまでの絶望から脱却して希望を持って生きていく、
という話です。
この『素晴らしき哉、人生!』はアメリカでは年末になるとテレビ放送される
定番の映画で、アメリカで最も親しまれている映画の一つといって良いでしょう。
この映画のように、
私たちの目の前に天使クラレンスが現れることはありません。
しかし、この映画には「どうすればもっと上手く商品を売ることができるか?」
のヒントがあります。
2.別のシナリオを想像させると何が起こるか?
ハル・エルスナーが率いる、ノースウエスタン大学とカリフォルニア大学の
研究チームが面白い実験を行いました。
まず被験者にアメリカ合衆国がどのように生まれたのかを
振り返ってもらいました。
その後、半分の被験者にはアメリカ合衆国が誕生していなかったら
世の中はどうなっていたかを考えてもらい、
もう半分の被験者にはアメリカ合衆国が誕生したせいでどんな世の中に
なったのかを考えてもらいました。
すると、「もしアメリカ合衆国が誕生していなかったら」というシナリオを
想像するように言われた被験者の方が、高いレベルで愛国心を示したのです。
3.あえて逆のシナリオを提示して購買意欲を高める
映画『素晴らしき哉、人生!』や「もしアメリカ合衆国が誕生していなかったら」
という想像をさせた実験から、あることが分かってきます。
それは、「もしあなたが私の商品を買わなかったらどうなる?」
ということをお客さんに問いかけ、考えさせることで、
逆に商品の購買意欲が高まるということです。
実はこの手法、私も本業のセールストークでよく使っています。
私は障害年金の手続き代行を行う社会保険労務士ですが、
次のようにお客さんに説明しています。
「もしあなたが私に依頼しないで自分で障害年金の手続きをするとしたら、
どうなると思いますか?
年金事務所と自宅、病院などを何度も往復させられ、
心身ともに疲れ果ててしまいます。
それで障害年金が認められればまだいいですが、
失敗したら年金は1円も手に入りません。
だけど私に依頼すれば、あなたは待っているだけで年金が手に入ります。
私への報酬は年金の一部から捻出すれば、あなたの財布は傷みませんよね」
状況によって言い方は変えますが、こんなことを言っています。
するとお客さんは私に依頼した未来と依頼しなかった未来を比べ、
結果として私に仕事を依頼するケースが増えるのです。
4.まとめ
商品を売る場合、単純に「買って下さい」と言うのは簡単ですが、
ちょっと工夫するだけで成約率を高めることができます。
それが「もしもこの商品を買わなかったら?」とお客さんに問いかけることです。
あなたの商品を買って満足する未来と、
あなたの商品を買わずに損をする未来、
この両方をお客さんに見せてあげてください。
きっとお客さんの方から「売ってくれ」と言ってくれるようになりますよ。
お金を儲けて仕事にやりがいを!人生に生きがいを!
記:宮里竹識(みやざとたけし)