理屈で考えると、一人の問題よりも大人数の問題の方が人々の関心を引きやすいと考えられています。
しかし、マーケティングの世界では奇妙なことが起こります。
人間の脳が非論理的で、予想外の反応を示すことが研究で明らかになってきました。
1.飢餓に苦しむ子どもの写真
デシジョン・リサーチ社のポール・スロヴィック研究員は、
飢餓に苦しむ子どもの写真を見せられた人たちが
どのような寄付活動を行うのか実験を行いました。
被験者の一部は、アフリカで飢餓に苦しむ子どもが一人写っている写真を
見せられ、別の被験者は子どもが二人で写っている写真を見せられます。
その結果、
二人の写真を見せられた被験者は、
一人の写真を見せられた被験者よりも寄付金額が15%少なかったのです。
また、同じような実験が行われたのですが、
飢餓に苦しむ子ども八人が写っている写真を見せられた被験者は、
一人だけ写っている写真を見せられた被験者よりも
寄付金額が50%も少なかったのです。
2.チャイルド・ファンド(旧キリスト教児童基金)のマーケティング手法
「みんな」の苦労話より「一人」の苦労話に人は惹かれるというのを
良く分かっているのが、チャイルド・ファンド(旧キリスト教児童基金)です。
チャイルド・ファンドでは、子どもの名前や写真など、
詳しい個人情報を明らかにした上で、
寄付者に支援を求めています。
2016年4月1日時点でチャイルド・ファンドは次のような描写で
寄付を募っています。
「学校に行きたい!」
ネパールに住むビニシャ。
大地震で家が倒壊し、学校も休校になってしまいました。
家族が出かけると、シートとトタン板で作った
仮説の住まいに一人でいなくてはなりません。
「家に一人でいるのは怖い、
友達のいる学校に早く行きたい」
と願っていました。
チャイルド・ファンド・ジャパンのホームページのリンクを貼っておきますので、
参考までに見て下さい。
3.個々に目を向けさせる
チャイルド・ファンドもそうでしたが、
「みんな」ではなく「一人」に目を向けさせることが重要です。
「心臓移植を待つ子どもたちのために寄付してください」ではなく、
「佐藤一郎さんの息子の太郎君のために寄付をお願いします」と言いましょう。
人間の脳は集団を苦しめている状況よりも、
個人の苦境に強く反応するようにできているのです。
ちなみにこの考えは寄付を求めるとき以外でも使えます。
私の場合、お客様の声を紹介するときに
「個々に目を向けさせる」ということを意識しています。
具体的には、お客様一人を特集した記事を書くのです。
お客様の名前・住所・年齢・どんな状況で私に依頼し、
どんな結果になったかを詳細に紹介するのです。
どん底にあったお客様の成功ストーリーを紹介して
最後にお客様の声を紹介して一つのコンテンツとしているのです。
年間何人のお客様をサポートしましたとか、
お客様の声を並べて紹介することもありますが、
一人にスポットを当てて伝えることで見込み客の心を強く引きつけているのです。
あなたのビジネスでも「個々に目を向けさせる」ことができないか、
考えてみてください。
お金を儲けて仕事にやりがいを!人生に生きがいを!
記:宮里竹識(みやざとたけし)