クレーンゲーム詐欺からビジネスを学ぶ!?

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2017年12月、
絶対に取れないように細工したクレーンゲームで客を騙したとして、
大阪市のゲームセンター経営者が詐欺容疑で逮捕されました。

詐欺行為なんて論外な話ですが、
ビジネスという観点から学べることもありましたので
紹介します。


1.クレーンゲーム詐欺はどのようにして行われたか

このクレーンゲーム詐欺、
まずはカモとなる客を見極めるところから始まります。

絶対に取れないように細工してあるクレーンゲームなんて、
くり返し利用する人はいませんよね。

そこでこのゲームセンターは、
地元の人ではなく観光客に狙いを絞りました。

観光客ならこのクレーンゲームが取れないようになっていることを
知らないだろうし、旅行で財布の紐も緩んでいるはず、
こう考えたのでしょう。

幸いこのゲームセンターは
大阪市の繁華街で観光客もよく通ります。

キャリーバッグやお土産袋をもった人などを
狙って声をかけます。

そして、
「サービス券あげますんで、3回無料でできますよ!」
このように声をかけるのです。

無料と聞けば気軽に応じてしまいますよね。

景品が取れないように設定していますので、
当然ながら3回では取ることができません。

そこでお客さんにはこのような心理が働きます。

”3回無料にしてくれたのだから、少しはお金を出してやらなきゃ”

そうして何度かチャレンジするものの、
当然景品をゲットすることはできません。

そろそろ帰ろうかと客が動き出すと、
「元を取らないと」
「もう少しで取れます」
などと言ってゲームを続けさせようとします。

そして実際に店員がクレーンゲームを操作し、
景品を取ってみせるのです。

もちろん客に見えないようにクレーンゲームの設定を変えてですが。。。

そうしてゲームを続けさせた後、
元を取りたい・損したくないという客の心理を利用し、
「今までの景品全部あげます」などと言葉巧みに誘導して
より高価な景品のあるクレーンゲームを行わせていくのです。

ゲームの金額も段々高価になり、
1回500円、2000円、1万円となっていきます。

どんどん散財していくお客さんですが、
ここで終わらないのがこのクレーンゲーム詐欺の
恐ろしいところです。

手持ちのお金がなくなったお客さんをATMのあるところまで案内し、
お金を引き出させて一緒にお店まで戻ったり、
連絡先を聞き出しLINEで再度の来店を促したりもしていたそうです。

この詐欺行為により多くの人がお金を騙し取られました。

中には160万円も使ってしまった人もいるそうです。

警察に苦情が殺到したため、
最終的にお店の経営者は詐欺で逮捕となりました。

 

2.このクレーンゲーム詐欺の恐ろしいところ(すごいところ)


このクレーンゲーム詐欺を
ビジネスの観点から見たとき、
すごい(恐ろしい)と感じるところが5つあります。

【①ターゲットを絞っている】
商品・サービスを売るときには、
誰にでも売るのではなくターゲットを絞ることが大切です。

買ってくれないと分かっている人にセールスするなんて、
時間の無駄でしかありません。

このクレーンゲーム詐欺のお店はよく分かっていました。

地元の人にはお店の景品が取れないようになっているのを知られているため、
何も知らない観光客に狙いを絞ったのです。

キャリーバッグやお土産袋をもっている人など、
ターゲットとなる客を見分ける方法もしっかりと
マニュアル化しています。

ある意味さすがです。

 

【②無料オファー】
人は無料が大好きです。
無料でくれるものなら取りあえずもらう、
そんな人が大勢います。

それだけ無料というオファーは強いのです。

この強力な無料オファーを、
「3回無料の回数券」
という形でクレーンゲーム詐欺のお店は利用したのです。

まずは見込み客をお店に引き入れる、
客にお金を出してもらうための最大のハードルを
無料券というオファーで軽々クリアします。

しかもクレーンゲームは景品が取れないようになっていますので、
お店側によけいな費用は発生しません。

とても考えられていますね。

 

【③返報性の法則を利用していた】
人は何かをしてもらうと、
お返しをしたくなる生き物です。

スーパーなんかで試食を勧められて食べてしまうと、
必要ないものでも買ってあげなきゃという気持ちになりますよね。

これが返報性の法則です。

今回のクレーンゲーム詐欺でも、
この返報性の法則が悪用されていました。

最初に無料でゲームをさせることによって、
”少しはお金を出してゲームをしてあげないと悪いな”
という気持ちにさせたのです。

おそろしいですね。

 

【④景品を取ることができると証明してみせる】
人は自分のお金が出ていくときには、
相手を疑ってしまうものです。

この商品は本当に効果があるのか?
この売り手は信用できる人か?

あなたも商品や売り手を信用できなくて
購入しなかったことが一度や二度ありますよね?

今回のクレーンゲームでは、
「この機械は景品が取れないようになっているのでは?」
とお客さんは疑うことになります。

そこで店員が実際にクレーンゲームを操作して
景品を取ってみせることでその疑いを晴らしています。

もちろん店員がクレーンゲームを動かすときには
景品が取れるよう機械を操作し、
客がやるときにはまた機械を操作して景品を取れないようにします。

そうして景品が取れることを証明して
ゲームを続けさせ、
より高価なクレーンゲームに誘導しているのです。

 

【⑤くり返し来店させるようにしている】
ビジネスを安定させるには、
お客さんに継続して商品を買ってもらう・サービスを利用してもらうことが
重要ですよね。

一回商品を買って終わりなら、
常に新規客を集めていないと倒産しちゃいますからね。

そうならないよう、
常連客を作ってくり返し商品を買ってもらうことが大切なのです。

この点クレーンゲーム詐欺のお店もさすがです。

客と仲良くなって連絡先を交換し、
LINEで再度の来店を促すといったことまでしているのです。

まぁ、観光客に狙いを定めていたので
再来店の成功率は低かったと思いますが。。

それでも何もしないよりも効果はあるはずです。

 

3.まとめ


大阪で行われたクレーンゲーム詐欺について
話をしました。

当然ですが詐欺は犯罪であり、
やってはいけないことです。

「ダメ、絶対!」ですよ。

しかしこのクレーンゲーム店が行っていたことの中で、
①ターゲットを絞る
②無料オファー(断れないほどの強いオファー)
③返報性の法則を利用する
④客の疑いを晴らすための証拠を提示する
⑤継続して買ってくれるよう促す
この5点はあなたのビジネスでも活用できるのではないでしょうか?

このクレーンゲーム店も、
10回に1回は景品が取れるようにしていれば
本当に良いお店になって多くの人から愛されたかもしれません。

詐欺行為は当然ダメですが、
学べるとことは学ぶ、
こういう姿勢も大切だと思います。

あなたはどう思いますか?



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記:宮里竹識(みやざとたけし)



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