キャッチフレーズとは、商品の広告に使われる謳い文句です。
そして、お客さんの心に残るブランドの約束でもあります。
これまで数多くの名キャッチフレーズが大企業を中心に生まれています。
強力なキャッチフレーズはブランド価値を高め、売上向上に大きく貢献するものです。
しかし多くの大企業はこのキャッチフレーズを使いこなせていません。
そこで今回は、なぜ大企業は強力なキャッチフレーズを使いこなせないのか、どうすれば良いのかについて話をしていきます。
1.名キャッチフレーズ
まずは有名なキャッチフレーズをいくつか紹介しましょう。
●そうだ京都、行こう。(JR東海)
これを見ると京都に行きたくなりますよね。
●飲む点滴(ポカリスエット)
体に良さそうなキャッチフレーズですよね。
実際、私が中学生の頃、40度近い熱が出て病院に行ったとき、
医者からこう言われました。
「今点滴きれているから、ポカリスエット渡すから飲んどいて」
ウソのような本当の話です。
これ以降、風邪を引いたらポカリを飲むようになりました。
●ダメ。ゼッタイ(薬物乱用防止標語)
ド直球で分かりやすいですね。
●セブンイレブン、いい気分(セブンイレブン)
●バファリンの半分はやさしさでできている(バファリン)
実は私の一番好きなキャッチフレーズです。
小学校の頃、「本当にバファリンの半分はやさしさなのか?」という
タイトルで作文を書いたくらいです。
わりと真面目に書いたつもりですが、なぜか先生に怒られました。
2.大企業が行う誤ったキャッチフレーズの使い方
大企業ほど広告予算があるのでよいキャッチフレーズも
広まりやすいです。
しかし多くの大企業は誤ったキャッチフレーズの使い方をします。
それが何かというと、
”キャッチフレーズをコロコロ変えてしまう”
ということです。
アメリカのマーケティング界の権威で
エプシロンの最高マーケティング責任者だったスティーブ・コーンは
自身の公演で、参加者にこう尋ねてまわりました。
「あなたが覚えているコカ・コーラとペプシコーラのキャッチフレーズは何ですか?」
すると、あらゆる世代がこう答えたのです。
コカ・コーラは「これぞ本物」
※1940年代から使われ、1970年代に再び使われたキャッチフレーズ
ペプシコーラは「奮い立て、ペプシ世代」
※1960年代からのキャッチフレーズ
日本ではあまり馴染みのないキャッチフレーズかもしれませんが、
アメリカではかなり有名なフレーズです。
みんなが古くて、でも強力なキャッチフレーズを口にしたのは
理解できます。
さらに驚くべきことに、両社の現在のキャッチフレーズを覚えていた人は
いなかったのです。
この結果から言えることは、
「魅力的なキャッチフレーズをもっているなら、それを変更するな!」
ということです。
3.なぜ大企業はキャッチフレーズを変更するのか
なぜ人々の記憶に残るような素晴らしいキャッチフレーズを
大企業は使い捨てにして新しいキャッチフレーズを探してしまうのでしょうか?
その理由は、
「同じフレーズばかり使うとお客さんは飽きてしまう」
と大企業が考えてしまうからです。
しかしその考えは誤りです。
なぜなら、同じキャッチフレーズに飽きているのは
大企業自身だけだからです。
大企業で働く人やお偉いさんはいつも商品や会社のことばかり考えています。
でもお客さんは違います。
お客さんが考えているのは基本的には自分のことばかりです。
あなたの商品のことなんて、
必要がなければ、ほしいと思わなければ考えたりしません。
あなたの商品のことを考え続けるお客さんなんていないのですから、
同じキャッチフレーズを使い続けたとしても
飽きられるということはないのです。
4.まとめ
お客さんの心を引きつけるキャッチフレーズ。
しかし多くの大企業が強力なキャッチフレーズを使い捨てにして
新しいフレーズを追い求めてしまうという間違いを犯しています。
本当に良いキャッチフレーズはお客さんの心に長く残り続けます。
だからこそ、
効果のあるキャッチフレーズを持っているのなら
安易にそれを変更しないようにしてください。
お金を儲けて仕事にやりがいを!人生に生きがいを!
記:宮里竹識(みやざとたけし)